【プロミュージシャンを目指して】山野ビッグバンドジャズコンテスト観戦記🎷

我が家の3人目、22歳のひとり娘は、子どもの頃からプロミュージシャンになる、という夢に向かって歩み続けています。

彼女がミュージシャンを志たのは5年生の時。
突然『私プロになる!』と言ったのです!
これには目が飛び出るほど驚きました。

初めてサックスを吹いた、11歳の秋のこと。

それから11年。ブレることなく、現在に至ります。
現在は神奈川県の音大で、尊敬する師匠の元、修行を続けています。

その音大でビッグバンドサークルに所属しているのですが、先日、全国規模のコンテストがあり、観戦して参りました。

大学4年生。最後の大会です。

【山野ビッグバンドジャズコンテスト】

表題にもなっている【山野ビッグバンドジャズコンテスト】、それってなぁに?5年前の私はそんな感じでした(笑)

『山野ビッグバンドジャズコンテスト』(※略称YBBJC)というのは大学ビッグバンドの全国大会で、学バンの憧れであり最高峰の大会であります。
そして、今年はその第50回なんと、1970年から開催されていたようですね。

この大会からプロになった奏者も多く、プロの登竜門としての役割も担っているのですね!

2日間にわたり、シード校、予選校、合わせて35団体で競われ、その中から選抜された上位10チームの演奏が、山野楽器さんが発売しているアルバムに収められます。

ここでは音大も一般大学も関係ありません。
むしろ、歴史ある一般大学の巧さは驚くばかり!!
どれだけ練習しているのか、どういう練習しているのか、じっくり教えて欲しいくらいです。

山野ビッグバンドジャズコンテスト2019

【山野ビッグバンドジャズコンテストの魅力】

何故、私がこのコンテスト、YBBJCに来るようになったのか。岡山から。飛行機に乗ってホテルも取って。

それは!!ミュージシャン志望の娘が参加しているからなのでした〜(^o^)

そして、今年は8月11日〜12日の2日間、埼玉県大宮市で開催されました。

ビッグバンド、とひとことで言っても、多彩なジャンル、個性が本当にバラバラで、初めて聞いた年は『Jazzってなんぞや!』と、頭の中が???だらけに。

ジャズ、と言っても全部がスウィングしているわけじゃないし、ラテンやフュージョン系、デュークエリントンやカウントベイシーなどのベーシック系、コンテンポラリージャズ・・・などなど。

この大会だけでも、それぞれの個性と共に、様々な形態の音楽を楽しむ事ができます。

それに加えて、各楽器奏者、音楽ライター、編曲家・・・などのプロの先生方の講評を、全バンド分、その場で聞くことができるので、本当に勉強になるんです!

そしてこのコンテストのレベルの高さと言ったら!!

上位3校はすぐにアルバム出せそうな実力、4位から10位(入賞は10位まで)は上位3校と紙一重!来年どこが優勝するか分からない!そんな状態です。

特に今年はより素晴らしく、どこが入賞してもおかしくないな、そんな印象でした。

このコンテストで入賞することは、本当に難しく、伝統ある学校は、先輩方のスタイルを守りながら、常に進化し続けています。

【昭和音楽大学 リリー・ジャズ・オーケストラとYBBJC】

昭和音大リリー・ジャズ・オーケストラ

娘の所属する『昭和音大リリージャズオーケストラ』は、3学年上の真野崚磨さんが中心になって立上げたビッグバンドで、結成5年のまだ若いバンドです。

YBBJCに出場したのは今年で4回目。初出場は予選スタートで19位、2年目は16位、そして昨年初めて9位入賞する事が出来ました。

今年の昭和音大リリー・ジャズ・オーケストラ

そして今年。結成メンバーは全員卒業し、昨年からもメンバーが半分入れ替わった、まさに新生リリーは、今までよりも、もっともっとスピーディでテクニカル!落ち着いているようで、とても熱い演奏を聴かせてくれました!

今年度、一般大学に混ざって出場した音大は昭和だけ。音大なので『上手くて当然』と言われることもあるある。指導者に恵まれている、それもあるある。

環境に恵まれている??それは多いにクエスチョン。部室もサークル楽器もありませんから(^^;;
どちらかといえば、クラシック中心の学内では、肩身の狭い存在です。

部員も少なく、今年はメンバーの入れ替えも多く、ビッグバンド初挑戦の新入生も多くいたと聞いています。

どれだけみんな頑張ったのか・・・その努力はそれぞれの楽器人生の大きなレベルアップに繋がったことでしょう。

第50回YBBJCで見せた、音楽家の卵たちのパフォーマンス

そんな世間の目をバネに、それならばやってやろう!と挑んだのが音色勝負!

昨年初めて披露したパフォーマンスで、管全員フロントに並んでの、マイクなし、生音勝負

それをよりパワーアップさせて、今年はリズム隊もなし!

その状況でフォルテからピアニッシモまで、細かい動きも豊かな表現も、大ホールに届けました。

失敗すればどうしようもなくカッコ悪い演出。それを承知でのパフォーマンス。でも、今年のそれは昨年よりも歯切れよく、パワーも格段に上がっていたように思えます。

PAが入らない演奏は他にないので比較のしようが無いですが、ピアニッシモを滑舌よく、ホールの隅まで届ける、という基礎中の基礎にきちんと取り組んでいた、そんな印象です。

1曲目は踊りだしたくなるような、速いテンポのスウィング。

その後、ドビュッシーを彷彿させる、なめらかで彩り豊かなアドリブピアノソロからの、管楽器アカペラの2曲目。

その繋ぎで、ホール全体が息を飲んだ、静寂からのドラムソロ。

そこから繰り出された3曲目は、リリーの持ち味である、スリリングでスピーディ、ジェットコースターのような、とてもカッコいい曲で目一杯のテクニックをサラリと聴かせ

そのまま4曲目、大先輩であるリリー創設者、真野崚磨氏作編曲、アメリカのShow Timeを連想するような軽やかな『Theme For Lily』で締めくくり。

コンテスト、ではなく、何かひと繋がりの映画音楽を聴いているような、そんなステージでした。

管楽器アカペラ

演奏家志望の音大生、としての演奏

細かい基礎をこと細かくやってきた、ピッチを合わせる時に気持ちを合わせている、そして何より、こんなにも複雑なプログラムを、心から楽しんでやっている、仲間を信じている。

それがとても伝わってくる、気がついたら涙が出てくる演奏でした。

『難しい事を難しいと感じさせず、観客を楽しませる演奏をしていることが見事』(審査員講評)

まさに。学バンではなく、演奏家として、15分のShow Timeで最高のプレイを楽しく演る、というリリーの目標。

その事が充分伝わった、音楽家の卵集団の演奏に、とても感動しました。

そして、その結果として、昨年より3ランクアップ、6位入賞を果たすことができました!

感動をありがとう!!より難しいものに取り組んで得られたこの結果を糧に、また高みを目指してください。

6位入賞おめでとう!

コンテストに掛けてきた、彼女の10年間

娘は、昨年バンドマネージャーで今年はバンドマスターという役割を与えてもらっています。

演奏のみならず、スケジュール管理、企画、選曲、全体のまとめ、合宿手配・・・自分のことをそっちのけでやってきました。

それゆえ、自分自身のことでは、アレコレ取りこぼしや諸問題が・・・(^_^;)単位とか奨学金申請忘れとか・・・

それでも。それが彼女なのです。

いくら忙しくても、自分のことを後回しにしてでも、バンドのことはやり切る。

中学高校の頃は、吹奏楽コンクールに向けたバンド作りに、とてもとても!情熱をかけていました。

大学入試を目前にしても部活を辞めず、最後まで闘って、高校最後のコンクールでは、小編成の部で県予選3位を受賞。
それでも、本人はまったく納得していませんでしたけど。

そんなあの頃のままの娘が、今もそこに存在していました。

吹奏楽とビッグバンド、という要素が違うだけで、常に『バンド全員でトップを目指す』その心意気はまったく同じ。
バンドメンバー全員で意識を共有し、意見を真っ直ぐに闘わせる。中学3年生の時の夏を思い出しました。

プロミュージシャン志望の娘のこれから

中学1年から10年。コンマス業務など、取りまとめ役として5年。

この大きな経験は、きっと、この先の彼女の音楽人生に、大きくプラスに働くことと思います。

でも、そこはやはり実力の世界。

もし夢を叶えることができなかったとしても、何らかの形で新しい道を模索してくれるものと信じています。

感動を、10年間、本当にありがとう!!

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